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うそを書きます。
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お姫様がふと気がつくと、お城の中にはだれもいなくなっていました。
そんなはずありませんよね、お城の中ってたくさんひとがいるものなんですよ。
でもだれもいなかったのです。

お姫様は少し心配になって、王様を探しましたが、王様も、いないのです。
こんなことは今までにありませんでした。

でもおしとやかなお姫様は、大きな声を上げて人を探したりはしませんでした。
あくまでもしとやかに、足音も立てずに歩いて探したのです。

そのとき、ばあん、と大きな音がして、ホールのとびらが開きました。
ちょうどホールのすみを足音も立てずに歩いていたお姫様はとてもびっくりしました。
でももちろん、大きな声をあげたりはしませんでした。

「ポポロン姫!あなたの夫になるりっぱな男が来ましたよ!」

(そうそう、このおしとやかなお姫様の名前はポポロン姫っていうんですよ)

大きな声を上げたのは、見るからに恐ろしい、毛むくじゃらの大男でした。
いえ、大男のような格好をしたけだものでした。
鼻はオオカミのように前に伸び、とがった牙が耳までさけた口からぞろりと並んでいました。
顔も手足も毛だらけで、手には汚くとがった爪が生えています。
服こそ、おしゃれで、金糸や銀糸をふんだんに用いたものを着ていましたが、そのけだものはどう見ても、ドドラリア王国の第三王子なんてものではないのでした。

それは、悪い魔法を使い、お金をどこからかむしりとり、周りのひとたちを恐怖におとしいれて生きているけだもので、どうやら王様はなにか弱みを握られているか、お金をたくさんもらったかしたのでした。

なんてことでしょう、王様はおしとやかなお姫様を、国のためだか自分のためだか、そのけだものに差し出したのです!



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あるところに、とても美しいお姫様がいました。

まつげは長く、大きな瞳をやさしくふちどっていました。
くちびるはまるでバラの花びらのよう。
長い長い髪は腰まで伸び、いつもすその長いきれいなドレスを着ていました。

そう、お姫様は、とてもおしとやかな方でした。

とてもとてもおしとやかなので、誰がなにを言っても静かにほほ笑むだけでした。
疑問を感じたときにはちいさく首をかしげました。
でも、それだって滅多にないことなのでした。
“言い返す”なんて、とんでもない。
生まれてから一度もしたことがないのでした。

ある日、お父様である王様がお姫様に言いました。

「そろそろお前も年頃なのだから、夫を持たなければならない」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「わが国は小さくて、貧乏だ」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「そのため、お前の夫は金があり、力のある男でなければならない」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「ドドラリア王国の第三王子をお前の夫とすることにした」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

そして、その日は突然やってきました。



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ところでトレモロさんは実はバツ1でした。
若い時に結婚した夫とは
そりが合わず、子どもができる前に離婚をしたのですが、
なにしろこの時代のこと、
故郷に居づらくなって旅に出たのでした。
旅の目的は…そう、新しい旦那様探しの旅なのでした。

トレモロさんはあからさまな手口で引き止められたのをもちろん気づいていましたし、
ろくろべえさんとその家族をちゃんと品定めしていました。

結果、トレモロさんは、
おじいさんの口臭と、世話好きなおばあさんのうっとおしさはあるものの、
田畑家付き長男のろくろべえさんの嫁の座はなかなか捨て置けない、と計算しました。
しかしろくろべえさん自身は特に男前でもなかったし、
まあ働き者であるのがポイントかな、くらいのものでした。

ですからトレモロさんとしては、
“わたしを唯一の女神として崇め奉るのであれば、嫁になってやってもいい”
ありていに言えばそんなつもりでいたのでした。

しかしろくろべえさんはトレモロさんがお好みではなかったので、
どうにも積極的に打って出る気分にはなれませんでした。

ある日、ついにおじいさんとおばあさんはトレモロさんを引き止める口実がなくなってしまいました。
トレモロさんは、“止めるなら今のうちよ”とちょっとの間ぐずぐずしましたが、
ろくろべえさんには引き止める様子もなく、
おじいさんとおばあさんは大変別れを惜しんだのですが、
二人は比較的あっさりと別れることになりました。

結局トレモロさんはろくろべえさんの首が夜な夜な伸びるという秘密を知る機会がありませんでした。


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うつくしい女のひとは名をトレモロと言いました。
トレモロさんはひとばん泊まるだけのはずだったのですが、
おじいさんがぞうりを隠したり、
おばあさんが着物をひどく汚して洗濯するからととりあげてしまったりしたので、
いく晩もいく晩も泊まることになりました。

そのあいだ、ろくろべえさんは自分の長く伸びる首を巧妙に隠していました。

さて、数日一緒に暮らしているうちに
トレモロさんはおじいさん、おばあさん、ろくろべえさんと親しくなりました。

おじいさん、おばあさんもトレモロさんのことを知るようになりました。
どうやら、トレモロさんは大変しっかりした女性のようでした。
てきぱきと家事をこなし、
思ったことははっきり言うし、
老い先短い身としては、そんなしっかりした女性がろくろべえさんのお嫁さんになってくれれば
安心だと思え、
このふたりの縁談がうまくいくといいなあと思うのでした。

しかし、ろくろべえさんからしてみると、
状況はあまりよいとは思われませんでした。
ろくろべえさんにはトレモロさんのはっきりした言葉はいささかきつく思われましたし、
ろくろべえさんがごろごろしていたい時に
トレモロさんときたらてきぱき掃除をしたりするので、
ひらたく言えば、“あんまり、タイプじゃないな”だったのでした。


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むかしむかし、あるところに、おじいさんとおばあさんとろくろべえさんが住んでいました。

ろくろべえさんは夜中になると首が伸びるという困ったからだの持ち主でした。
おじいさんとおばあさんはそんなろくろべえさんに慣れてはいるものの、
やはり夜中に首の伸びたろくろべえさんを見てしまうとどぎもを抜かれてしまうのでした。

そんなある日。

夜、三人が夕ご飯を食べ終わった頃、ほとほとと戸を叩く音がしました。

おじいさんが戸を開けると、そこにはうつくしいおんなのひとが立っていました。
おんなのひとは、これから山を越えようと思ったのだが夜になってしまったので、
どうか一晩うちに泊めて欲しい、というのでした。

とてもきれいな、やさしげなおんなのひとです。
おじいさんは泊めてあげることにしました。


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