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うそを書きます。
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むかあしむかし、あるところにおじいさんと、おばあさんと、宇宙人が住んでいました。

おじいさんは、昔は村中の娘達から憧れの目で見つめられていたハンサムさんでした。
そして、おばあさんは、村のひとたちから“春雨小町”と呼ばれるほどのべっぴんさんでした。

そんな美男美女のカップルは、今はシルバーシートを薦められるような年になりましたが、素敵なロマンスグレーな二人でした。

宇宙人は、体も宇宙服も、全身がシルバーでした。

グレーなのかシルバーなのか。

まあ似たもの同士ですね。
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お姫様は、ついにおとなりの国の城下町に入りました。

豊かなおとなりの国の城下町の賑わいは、お姫様の国とは比べるすべもありません。

お姫様はお城に近い宿に入り、侍女の部屋から持ってきた財布で宿賃を支払いました。
(代わりのものを置いてくるのは忘れてしまいました、しょうがないですね、急いでいたんですから)
そして体をさっぱりとさせ、持ってきた優美なドレスに身を包みました。
もちろん、ドレスに合った靴もはきました。

そしておとなりの国のお城に行きました。

お城の門を守っていた衛兵は、おしとやかなお姫様の、これ以上ないおしとやかなお辞儀に、ふだんは横柄な態度をつつましく礼儀正しい態度に変えました。

「あなたはどなたですか?」
「ポポロン姫と申します」

なぜこんなところにおとなりのポポロン姫が?
信じがたい思いでしたが、目の前のお姫様は容姿だけでなくその物腰までも、高貴な出自であることを物語っていました。
衛兵はお姫様をおとなりの国の王様の下にお通ししました。

王様も信じがたい思いでしたが、目の前のお姫様を見て疑うわけには行きませんでした。

ポポロン姫はお城が悪いけだものに思うさま荒らされていることを伝え、おとなりの国の王様に助けを請いました。
おとなりの国は強い国です。

おとなりの国の王様は、お姫様の国のお城に軍隊を差し向け、一気にけだものを討伐し、ついでにお城をおとなりの国の支配下に置きました。

おしとやかなお姫様は軍隊の総指揮を取ったおとなりの国の二枚目な王子様と結婚して、生まれ育ったお城で幸せに暮らしました。
(王子様にはフィアンセがいたのですが、お姫様を一目見た王子様は、運命的な恋に落ちたのです)

おしとやかなお姫様のお父様である王様は、塔のてっぺんの元お姫様のお部屋で、おだやかな隠居暮らしをすることになりました。


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お姫様は本格的に走り出しました。

速い速い。
景色は飛ぶ飛ぶはるかかなたに。

はるか遠くでは、お城が半壊しています。
城下町の人たちも、お城の様子に気がついて悲鳴を上げていますよ。

それでもお姫様は走る走る。
野原を越えて川越えて。
森も林もなんのその。
お山も一気に走りぬけ。

ところで、お山はとなりの国との国境でした。
お隣の国に入りましたよ。

お隣の国は豊かです。
金色にゆれる麦の穂も。
たわわに実る赤い実も。
牛も羊もひとより多く。

お姫様は、走る走る。


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お姫様はなにしろおしとやかな方でしたから、そんなに走ったのは生まれて初めてでした。
しかし、やってみないとわからないものです、お姫様は天性のスプリンターだったのでした。

お姫様は軽く軽く、飛ぶようにお城から離れていきます。
エレベーターもない、広いお城をひたすら歩いて移動し(なにしろお姫様のお部屋は高い塔のてっぺんだったんですから)、日々広大なお庭を散歩して過ごしたお姫様です。
ほっそりしたふくらはぎにはししゃもの腹のような筋肉がついていました。

始めのうちは、侍女のドレスを足に絡まないように、しかし必要以上に肌を見せないようたくし上げて走っていましたが、途中でお姫様はそれではとても走りにくいことに気がつきました。
あっという間に城下町についたお姫様は、たてものの陰に隠れて息を整え、そばに干してあった動きやすそうな服を拝借しました。
もちろんお姫様ですからね、その服があった場所には、ダイヤのついたイヤリングを片方、ぶら下げておきました。

その頃には、お姫様のお部屋のあるお城の塔は、がれきと化して崩れ落ちていました。
どうやらけだものは暴れたようですね。

さあ、おしとやかなお姫様は本格的に走りますよ!



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夫となるお方がけだものであることを見て取ったお姫様は、そっとその場を離れました。

そして衣装室に行き、できるだけやわらかい、優美なドレスを選びました。
そのドレスはていねいにたたんで、小さな包みにしました。
そのドレスに合った靴も、忘れずに包みに入れました。

けだものはお姫様のお部屋の方に上がって行きました。
お姫様のお部屋は、お城で一番高い塔のてっぺんにあるんですよ。

「どこですか!いとしのポポロン姫!」

お姫様は、今度はお姫様付きの侍女の部屋に行きました。
侍女はやっぱりいませんでしたが、侍女がいつも着ているドレスがありました。
お姫様はそれを着て、長いきれいな髪の毛を、きゅっとしばって侍女のボンネットの中に入れました。

けだものはお姫様の部屋に誰もいないことに気がつきましたよ。
「どこだあ!返事をしろ、ポポロン姫!」
けだものは、イライラしている様子です。

「はい」
ポポロン姫はおしとやかに答えました。
でも、侍女の部屋を出ようとしていたところでしたから、当然けだものには聞こえませんでした。

「おびえてかくれているんだな…!すぐさま出てこないと、ひどい目にあわせるぞ!」

お姫様は静かにほほ笑みました。
そしてもう一度まわりを見回して、誰もいないのを確かめてから、お城の正面の門に向かいました。
そこにも誰もいませんでした。

実はお城のみなさんは、お城の裏口に集まっていました。
正面はけだものが来ますからね、怖かったのです。
裏口にいたのは、もしもお姫様が裏口から逃げようとしたときに、お気の毒ながら捕まえて、お城の中に戻すためでした。

さて。
お姫様は走り出しましたよ…。


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