kokoと公園のベンチで一休みしていると、
後ろから声をかけられました。
振り向いてみるとシーツが広がっていました。
「ほえっ?!」
よく見るとシーツに目鼻があります。
「こんにちは。ぼく一反もめんです」
「(どこが一反じゃ)…はあ」
「八畳一反もめんっていう種類なんです」
「…すみません。一反もめんに種類があるとは存じ上げなくて」
「ぼく珍しいんです」
ちょっと自慢げです。
「そんな珍しいぼく、一緒に暮らしてみませんか」
「はあ?」
どうやら八畳一反もめんさんは棄てられたらしいのです。
まだハンカチくらいだった頃に買われたのですが、
どんどん大きくなって、
そのうち八畳にもなるということが飼い主にリアルに感じられるようになったら
棄てられちゃったんだそうです。
「…お気の毒に。でもあなたはずいぶんしっかりしているみたいなのに、
飼い主のおうちってわからないの?」
「わかりますよ」
「じゃあ帰ったらいいじゃないですか」
「棄てられたんですよ?!どうしてのこのこと帰れますか!
それに、また棄てられたら…!そんなの、耐えられない!」
「…あなたが飼ってくださいよ」
「どうしてわたしなんです」
「お子さんがいらっしゃるじゃないですか。
子どもがもう一人増えたってどうってことないでしょう」
ペットかと思ったら養子にしろと言ってますよ、この方。
ちょっとずうずうしいじゃありませんか。
「やですよ」わたしはきっぱりと言いました。
「たぶん保健所だってあなたを捕まえたりしないですから、
その辺にいたらいいじゃありませんか」
「それじゃホームレスじゃないですか!」
「それがいやならおうちに帰りなさいよ、
きっと飼い主さんもあなたを棄てたことを後悔していますよ」
「…!そうでしょうか…」
なんとかいいくるめてその場を離れてきました。
でもね、あいついまひとつ性格的にも問題がありそうだから
また棄てられるんだろうなあと思うんです。
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