先日出奔したしっぽですが、
なんと帰ってきました。
わたしもすっかりあきらめていたのですが、
おどろいたことに。
しかもおみやげつきで。
帰ってきたのが、昨日のこと。
仕事中のわたしの元にお客さんがやってきたのです。
見知らぬ紳士でした。
「kokomamaさんですか?」
「はい…」
知らないひとですからね、わたしも警戒しています。
「わたしは怪しいものではありません。
ただ…こちらに見覚えはありませんでしょうか」
彼が差し出したのはわたしのしっぽでした。
「あ!わたしのしっぽ!」
「なんと、これはしっぽだったのですか!」
「そうです、先日わたしの…
(見知らぬ男性に“おしり”とはいいにくいですよね)
…逃げ出したんです!」
「そうか、しっぽだったんですね、
すみません、しっぽというのは…あるべき場所にないとなんともわかりにくいもので」
「いえ…ありがとうございます、見つけてくださって。助かりました」
「持ち主がわかってよかったです」
「どうしてこれがわたしのものだとわかったんですか?」
「いえね、これは…うちの犬がくわえてきたんですけど」
犬!
わたしはまだ紳士が返してくれていないしっぽを見やりました。
ああ、でもしっぽは眼に見えるところは問題なく、
特に汚れたり、ぼろぼろになったりはしていませんでした。
「あ、特に傷んだりはしていないと思います。
うちの子は、こういうものの扱いは優しい子ですから」
紳士が差し出したしっぽをわたしは受け取りました。
うん、逃げ出した時のまま。
むしろきれいになってブラシもかけていただいてあるようです。
紳士はその飼い犬と同様、こういうものの扱いが優しい方なのでしょう。
「これをうちの子から受け取ってみたら、
なんだかわからないけれど、
あなたのことが心に浮かんで。
もちろんあなたのことは存じ上げなかったのですが、
あなたのお顔と、こっちのほうに行けばいらっしゃるんじゃないか、というような感覚が。
ただ、わたしも忙しかったものですから、
お届けするのが今日になってしまった、というわけで」
「ああ、ありがとうございます。もう戻ってこないかと思っていました」
「いえいえ、よかった…それではわたしはこれで…」
紳士は帰っていかれました。
しっぽは元の場所にぴったり納まって、もう逃げ出す様子はありません。
どうしてわたしから離れたりしたのかな。
ああ、でもしっぽが戻ってから、
薄ぼんやりとあの紳士のことが頭に浮かんで、
ちょっと困ってしまいます。
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