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うそを書きます。
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夫となるお方がけだものであることを見て取ったお姫様は、そっとその場を離れました。

そして衣装室に行き、できるだけやわらかい、優美なドレスを選びました。
そのドレスはていねいにたたんで、小さな包みにしました。
そのドレスに合った靴も、忘れずに包みに入れました。

けだものはお姫様のお部屋の方に上がって行きました。
お姫様のお部屋は、お城で一番高い塔のてっぺんにあるんですよ。

「どこですか!いとしのポポロン姫!」

お姫様は、今度はお姫様付きの侍女の部屋に行きました。
侍女はやっぱりいませんでしたが、侍女がいつも着ているドレスがありました。
お姫様はそれを着て、長いきれいな髪の毛を、きゅっとしばって侍女のボンネットの中に入れました。

けだものはお姫様の部屋に誰もいないことに気がつきましたよ。
「どこだあ!返事をしろ、ポポロン姫!」
けだものは、イライラしている様子です。

「はい」
ポポロン姫はおしとやかに答えました。
でも、侍女の部屋を出ようとしていたところでしたから、当然けだものには聞こえませんでした。

「おびえてかくれているんだな…!すぐさま出てこないと、ひどい目にあわせるぞ!」

お姫様は静かにほほ笑みました。
そしてもう一度まわりを見回して、誰もいないのを確かめてから、お城の正面の門に向かいました。
そこにも誰もいませんでした。

実はお城のみなさんは、お城の裏口に集まっていました。
正面はけだものが来ますからね、怖かったのです。
裏口にいたのは、もしもお姫様が裏口から逃げようとしたときに、お気の毒ながら捕まえて、お城の中に戻すためでした。

さて。
お姫様は走り出しましたよ…。


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お姫様がふと気がつくと、お城の中にはだれもいなくなっていました。
そんなはずありませんよね、お城の中ってたくさんひとがいるものなんですよ。
でもだれもいなかったのです。

お姫様は少し心配になって、王様を探しましたが、王様も、いないのです。
こんなことは今までにありませんでした。

でもおしとやかなお姫様は、大きな声を上げて人を探したりはしませんでした。
あくまでもしとやかに、足音も立てずに歩いて探したのです。

そのとき、ばあん、と大きな音がして、ホールのとびらが開きました。
ちょうどホールのすみを足音も立てずに歩いていたお姫様はとてもびっくりしました。
でももちろん、大きな声をあげたりはしませんでした。

「ポポロン姫!あなたの夫になるりっぱな男が来ましたよ!」

(そうそう、このおしとやかなお姫様の名前はポポロン姫っていうんですよ)

大きな声を上げたのは、見るからに恐ろしい、毛むくじゃらの大男でした。
いえ、大男のような格好をしたけだものでした。
鼻はオオカミのように前に伸び、とがった牙が耳までさけた口からぞろりと並んでいました。
顔も手足も毛だらけで、手には汚くとがった爪が生えています。
服こそ、おしゃれで、金糸や銀糸をふんだんに用いたものを着ていましたが、そのけだものはどう見ても、ドドラリア王国の第三王子なんてものではないのでした。

それは、悪い魔法を使い、お金をどこからかむしりとり、周りのひとたちを恐怖におとしいれて生きているけだもので、どうやら王様はなにか弱みを握られているか、お金をたくさんもらったかしたのでした。

なんてことでしょう、王様はおしとやかなお姫様を、国のためだか自分のためだか、そのけだものに差し出したのです!



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あるところに、とても美しいお姫様がいました。

まつげは長く、大きな瞳をやさしくふちどっていました。
くちびるはまるでバラの花びらのよう。
長い長い髪は腰まで伸び、いつもすその長いきれいなドレスを着ていました。

そう、お姫様は、とてもおしとやかな方でした。

とてもとてもおしとやかなので、誰がなにを言っても静かにほほ笑むだけでした。
疑問を感じたときにはちいさく首をかしげました。
でも、それだって滅多にないことなのでした。
“言い返す”なんて、とんでもない。
生まれてから一度もしたことがないのでした。

ある日、お父様である王様がお姫様に言いました。

「そろそろお前も年頃なのだから、夫を持たなければならない」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「わが国は小さくて、貧乏だ」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「そのため、お前の夫は金があり、力のある男でなければならない」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

「ドドラリア王国の第三王子をお前の夫とすることにした」
お姫様は、静かにほほ笑みました。

そして、その日は突然やってきました。



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は~るがき~た~ は~るがき~た~
ど~こ~に~きた~

どこからともなく歌声が聞こえてきます。
浮かれてますね。
だれですか。

や~まにき~た~ さ~とにき~た~
の~に~も~きた~

だれですかってば。

「のにもです」

のにも?

「だから歌ったでしょ、“のにも来た”って」

じゃあ“はるが”と“どこに”と“やまに”と“さとに”は?

「それは歌詞ですよ。あなたイヤなひとですね」

イヤって言われた…“のにも”に。

「ぼくはね、春を歌うんです。春が好きですから」

そうですか…。
その方が、なぜに、わたしの頭のうえにいるのですか。

「たまたまです」

ではどこかに行ってください。

「…あなた冷たいひとですね」

冷たくて結構です。



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昨日はキャンプに行きました。
山の中の、川の流れのそばにあるキャンプ場です。

そのキャンプ場には水を欲しがる少年が出ると言われています。

その少年には、水を与えたり、
水のあるところを教えてやったりしてはいけないのです。

すぐそばに川があるのですが、
「水ならそこにあるじゃん」なんてことも言ってはいけないのです。

そう、昨日の夜のことです。

バーベキューをして、
後片付けをして、
kokoと夫をテントに残して外に用足しに出ました。

そのときに出会ってしまったのです。
水を求める少年に。

痩せこけた少年でした。
この寒いのに、シャツ一枚のような寒々しい格好をしています。
恐ろしい存在だということは目を見ればわかりました。

まばたきをしないのです。

少年はそのまばたきをしない目でわたしをじっと見つめて、
「水を分けてくれませんか」と言いました。
わたしは、「水はありません」と答えました。
少年はさらにじっとわたしを見つめて、
「キャンプに来たのに水がないのですか」
「本当はあるんでしょう」とにじり寄ってきます。
わたしは恐ろしさに身をすくませていましたが、
最後まで、「水はない」「どこにあるかも知らない」で通しました。
しばらくすると少年はわたしのことをじっと見つめながら
遠ざかっていきました。

わたしは冷や汗でびっしょりになりながら、
夫とkokoの待つテントに戻りました。
結局昨夜は恐ろしくて一睡もできませんでした。

翌日近くでキャンプを張っていた男性が
川の中に沈んでいるのが見つかりました。
きっとあの男性は少年に水のありかを教えてしまったに違いありません。

 


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“ママ友ゼロの育児”ブログと“kokoのおもちゃカタログ”というブログもやっています。
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