飼い主たるもの

今日はテリーヌちゃんの飼い主さんにお会いしました。

なぜだかテリーヌちゃんは一緒じゃありませんでした。
テリーヌちゃんと一緒じゃないテリーヌちゃんの飼い主さんは
テリーヌちゃんの飼い主さんじゃないみたいでした。

そしていつもどおり挨拶せずにすれ違ったのでした。



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強風とペプチンくん

今日は天気はよかったのですが、
風が強かったですね。

散歩に行ったら風に顔を打たれてちょっとひるんでしまいました。
それでもよいしょよいしょと進んでいったら、
今度はなにかが顔にぶつかってわたしの首の辺りにくっつきました。

「あいたっ…あ、ペプチンくん」
「ようっkokomama！」

「今日は風が強いなあ！オレ飛ばされちまったよ」
（…ペプチンくんはいつも飛ばされているといえば飛ばされている気がするけど…。）

「はああ、ちょっとひとやすみさせてくれよ、オレ疲れちゃって」
「ああ、どうぞ。久しぶりだねえペプチンくん」
「おうよっ。元気かkokomama。kokoも元気そうだな！」
「おかげさまで。元気だよ」
「ああ、ここはあったかいな、癒されるよ～」
（ひとの喉元でよくくつろげるもんだ…。）

「ああ、そろそろダメだ」
「へっ？なに？突然」
「オレひとところに落ち着いていると息ができないんだ」
「はあ？」
「マグロは泳ぐのをやめると死んじゃうっていうだろ、オレもそんな感じなの」
「そうなんだ…（っていうわりには“癒される～”とか言ってなかったっけ）」
「じゃなっkokomama！あばよっ」

ペプチンくんはまた飛んで行きました。
今日は突っ込みどころ満載のペプチンくんでした。



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テリーヌちゃん

今日はテリーヌちゃんに会いました。

テリーヌちゃんというのは、
同じマンションに住んでいるひとの飼っている
明るい茶色の毛をしたテリアです。

「テリーヌちゃん、こんにちわ」

「ご機嫌いかがですか？」

わたしはいつもこのように大変丁寧に話しかけるのですが、
テリーヌちゃんは返事をしてくれたことがありません。
それどころか、吠えるのです。わたしにむかって。

「…もういいザマスか？」
テリーヌちゃんの飼い主さんが
わたしとテリーヌちゃんの不協和音に疲れてか、おっしゃいました。

わたしは、“おたくのテリーヌちゃん、
　ちょっとお高くとまりすぎじゃないですか？”と言いたいのをこらえてお別れしました。
そうだよ、まったく。いつもいつも。



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電車の旅

今日はブルーラインという電車に乗りました。
ブルーラインというのは終点が限りなく遠くて、
終点まで行ってしまうと帰ってこれないかもしれないという電車です。

もちろん終点まで行ってしまうと危ないので、
わたしが乗るときはせいぜい三駅くらいしか乗りません。
それ以上は、ちょっと怖くてムリ。
でも乗る。

今日のブルーラインは混んでました。
あの中のどれくらいのひとが終点に行くのかな。



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代行

今日は雨。
でも雨をおしてお散歩することにしました。
kokoを抱っこ紐の中に入れて。

…こら、くにゃくにゃしない、koko。
おかあさん抱っこしづらいよ。

…こらっ…って、あれ？
君kokoじゃないね？

抱っこ紐の中に入っていたのは、
まるまると太ったダックスフント。
胴が長くて入らなさそうなものだけど、
太ってるもんだからちょうどよく収まってる。

あれっ。いつの間に？
「kokoさんはちょっとお手洗いに行っています」
「うそだよ。kokoはまだおむつだもん」
「そんなこと言ったってお手洗いなんです。
　ぼく代わりに入ってるように言われたんです」
「kokoしゃべれないもん」
「ああ、普段はしゃべれない振りをしているそうです」
「…君は誰なの」
「ぼく、代行業のものです。ほら、最近流行の」
「ああ、いろいろなことを代行してしてくれるっていう」
「そうです」
「で、これはなんの代行なの」
「kokoさんの、です」

kokoがとなりの部屋からヨチヨチやってきました。
「…これはどういうことなの、koko」
「アウー」
「あ、kokoさん、お仕事はこれで終わりってことで。
　じゃあおかあさん、お代を」

玄関からつまみ出しました。
真偽のほどはわかりませんが、
そんな代行業のひとに払うお金はありません。


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